旅の空
夢と一緒に旅に出た。
夢はぼわぼわしてつかみどころがないが
小さなことは気にしないおおらかな性格なので
気を使わなくて楽な相手だ。
前を向くのに疲れると
私は夢をながめる。
脈絡のない物語のかけらがとおりすぎていく。
田舎のきれいな空気のもとで私の喉は生き返って
ロングトーンの一つの音の中に
たくさんのお話をこめることもできるようになった。
夢はときどき疲れて眠ってしまう。
道端で電池の切れたように、ぱたっと。
そういうときは
たったひとつの音で子守唄を歌う。
なにもこめない、音だけの美しさをもとめて私はほそーいながーい糸になって
山に谷にながれだしていく。
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