蛸の浜
宮古の浄土ヶ浜の隣に蛸の浜がある。
おおきな穴のあいた岩が、蛸のように見えるからだろう。
震災のあと、一番初めにできたのが小さな漁村を舞台にした蛸の歌だった。
以降、蛸に愛着がありまた、
海を思わせる歌が多くできている。どうしても海に惹かれてしまう。
で、
蛸の浜へ。
震災により浄土ヶ浜からのアプローチが絶たれているので、小さな町からまわってみた。
浜への道は細い地元の道なので、だいぶ手前の店に車を置かせてもらって30分ほど歩く。
町は蛸の浜と裏側を日立浜にはさまれており、日立側からの波にのまれた。
蛸の浜の手前は丘になっており、海沿いの神社も墓ものこっていた。
その、
町を歩いて向かう。
軽しかとおれないような細い道の両側にびっしりと家が建っていた、のだろう。
跡形もなく区画だけが残り、雑草が生い茂る。
地元の人は決してその空き地を横切らないという。
どんなにあいていても、道であった場所を、律儀に歩くという。
かつてその場所に家があり家族の思い出があり、またそこで、人が瓦礫に埋もれて死んでいたかもしれないから。。。
「しずかにあるいてつかあさい」
という、原爆投下後の復活した広島の町で書かれた詩がある。
今はこんなににぎやかなこの町のしたには、
かつて原爆の火に焼かれたひとたちが
今も眠っているのだから、
どうぞしずかにあるいてつかあさい、
という。。。
毎年夏に聞いて涙するその詩を、
思い出した。
町の人は、どこいぐ?とか、どごからきた?と声をかけてくれる。
彼らの目には
かつての町やいなくなった人たちのこと。
あのひの海の狂気が、
焼きついているんだな、
とおもいながら、
海沿いの道を歩いた。
蛸の浜は何事もなかったかのように静かに、
タコの岩やほかにもたくさんの変な岩に、
波の音が、ちゃっぷん、ごおお~~
どっぷん、かっぽん、ざぞぞぞお~
と、
面白い音に満ちていました。
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コメント
海だけに限らず
自然には
勝てない
人間の弱さ…痛感ですねぇ
投稿: ェム(^^) | 2013年10月 8日 (火) 01時09分