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2013年6月14日 (金)

けんじくんのこと 2

けんじくんのからだはとても大きい。
わたしは、けして、かれの全体にいちどきに触ることができない。
全身で抱きついても、ふくらはぎくらいだったり、二のうでだったり、広いおなかに張り付いていたり、ふたつのお尻をいったり来たりしたり。
おおきなけんじくんは
四角いどっしりと守られた、いごごちのよい家に住んでいる(らしい)

そういえば私も、むかし「家」に住んでいたことがある。
それは明るいももいろと黄色の思い出のような場所にしまってあります。

けんじくんはときどき昔話をする。
それは、しまっておくほうのはなしではなくて、何回も取り出して懐かしむためのはなしなので、幾度も話されて言葉が洗練されていて、物語のようです。
わたしは、その中のたたかいの話がとくにすきです。
ゆっくりしたけんじくんのなかにある、怖いところが感じられて、いつもわたしはどきどきする。

やがて夜が来るとわたしはいつものように流れるかぜの下でひとりで眠ります。
それはすこし寂しくて自由で、とても自分らしい時間です。

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